社団法人エゾシカ協会設立趣意書
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かつてエゾシカは、大雪と乱獲で絶滅寸前に追い詰められました。だが、130年ほどの間に不死鳥のようによみがえり、いまや私たちの暮らしに脅威を与えるほど激増しています。50億円を超える農林業被害を出した年もあり、交通事故では死傷者まで出しています。
4年間でほぼ22万頭捕獲し、ようやく農林業被害は3分の2まで減りましたが、放置されたエゾシカの死体に群がって、鉛中毒のとばっちりを受けたオオワシ、オジロワシもたくさんいました。
エゾシカは、果たして放置されたり産業廃棄物として埋めなければならないほど価値のないものなのでしょうか。
目を西欧に転じてみましょう。鹿肉すなわちベニソンは最高級のジビエ(狩猟鳥獣肉)で、超高級食材です。わざわざニュージーランドから大量に輸入されているほどで、最近は低脂肪、低カロリー、高鉄分の健康肉としても注目されています。たとえ野生動物であっても、命を奪った以上、きちんと食べて「有効活用する」システムがあってもいいのではないでしょうか。 年間3万頭を活用するなら、最低でも150億円の経済効果が見込まれます。「エゾシカ・ワーズ(戦争)」とも呼ばれた厄介ものの野生動物が、どん底の北海道経済を支える可能性も秘めています。
あなたは、「ただ殺し続けているだけ」というエゾシカの現状から目をそむけてはいませんか?
社団法人エゾシカ協会設立趣意書
道東では1980年代後半からエゾシカが爆発的に増加し、天然林の樹皮への食害や牧草地、畑での農作物被害の発生、また自動車や列車事故が多発するなど、人々の生活との間で深刻な摩擦が生じています。農林業被害は50億円に達し、道内の自治体等は侵入防止フェンスの整備を進める一方、有害駆除や猟期・可猟区の拡大による頭数の削減を計画していますが、毎年5万頭を捕獲しても増え続けています。
シカ類などの有蹄類は、捕食者等の圧力が弱い環境下では植性を破壊し尽くすまで増加します。そうした最悪の事態を招くことがないよう、またエゾシカと私たちが将来にわたって良好な共生関係を築いていくことができるよう、いま新たな共生策のスタートが必要です。
スコットランドでは30万頭中6万頭、ドイツやハンガリーでは生息数の25%近くを捕獲し、個体数を一定に維持しています。また、ヨーロッパの狩猟は個体数管理と同時に鹿肉を得るところにあり、したがって肉を傷つけないように撃ち、放血を完全に行い、しかるべき肉処理工場で剥皮・解体・製品化されています。また狩猟そのものを有料化し、森林保全管理の財源としている地域や優れた形質を持つ適正な群れとして維持するため、性別・年齢群別の捕獲数のみならず個体まで特定している地域もあります。
イギリスでは、シカに関連する様々な施策を総合的にマネジメントする組織として「シカ協会」が設立されており、国民の理解と協力のもと実践的な活動が進めてられています。
道内でのエゾシカ対策は、まだ緒に就いたばかりですが、こうした共生策の実現が可能な動物は、国内では北海道のエゾシカをおいて他にはありません。
私たちは、以上のような見地から、新しい共生策の手本をヨーロッパに求め、保護管理と被害防止、有効活用、それらが効果的に組み合わされて実現する“森とエゾシカと人の共生”を北海道で実現するための実践的な推進機関として社団法人エゾシカ協会の設立を呼びかけるものです。
平成11年2月に設立された「エゾシカ協会」を母体とするとともに、今後、さらに多くの道内外関係機関、団体等の参加を募り、個々の機関・団体だけでは対応できない大胆かつきめ細かな対策に長期的な見地から、継続的かつ総合的に取り組んでまいりたいと考えています。この構想が早期に実現し、本道におけるエゾシカ対策の推進に資することができるよう各位の御高配をお願いする次第です。
