第2章 調査結果の概略

■ニュージーランドにおける野生ジカの変遷

1800年代   現在
狩猟のためヨーロッパから移入
生息数の拡大により大規模な駆除 ゲームハンティング
食肉用ハンティング
 

肉、皮の利用により一時期減少

産業としての飼育が始まる
農場からの流通が拡大していく

■ニュージーランドにおけるシカ産業

養鹿と野生シカの年間流通状況(食肉)

野生シカ
養鹿
生息数25万頭
飼育数140万〜180万頭
流通割合10%
流通割合90%

 厳しい衛生管理で処理して主にEU諸国に輸出


◆◆ ニュージーランド(以下本文ではNZ)の概要 ◆◆

1 国土                                

   NZの国土は日本の約3/4で、本州と九州を合わせた面積にほぼ一致する。

NZ(単位:千q2

日本(単位:千q2

北島
113
北海道(北方領土含)
83
南島
150
本州
231
その他の島々
6
四国
18
九州
42
沖縄
2
合計面積
270
合計面積
377

 

2 地理                                

NZは、南緯34~47度、東経167~178度に位置し、日本と同様地震帯の上にある島国。緯度を北緯に当てはめると、南島の南端はサハリン、北島の北端は伊豆半島先端、南島はその多くが北海道と重複する。

3 気候                                  

四季の変化が日本同様にあるが寒暖の差は日本より少ない。年間平均気温は、北島15℃、南島10℃で、南島でも冬期間平地に雪が積もることはほとんどない。 年間降雨量は、オークランド(北島)で約1190mm、クライストチャーチ(南島)で670mm

<参考>
札幌市の平成16年度平均気温 9.7℃
         降水量 1130mm

4 人口等                                 

人口(単位:万人)

NZ(2003年6月) 日本(2004年)
北島
310万人
北海道
566万人
南島
90万人
合計人口
400万人
合計人口
1億2772万人

人口密度(単位:人/q2

NZ 日本(2004年)
北島
27
北海道(除北方領土)
72
南島
6
全国
14
全国
340

 *人口の1/3がオークランドに集中しており、北島の人口密度が高くなっている。


◆◆ ニュージーランドにおける野生ジカの概要 ◆◆

      主にDOC (Department of Conservation(自然保護省))での調査概要

1 生息状況 

・ NZには元来陸生哺乳類はコウモリが2種生息していただけで、現在生息している他の哺乳類は全て移入種である。

・ シカ類は1800年代から1920年にかけて狩猟のために、スコットランドからアカシカ250頭を移入したのが最初である。

・ その後シカ類は7種類移入され、その他ポッサムなどの哺乳類も移入された。

・ 1930年代より農業被害が顕在化したことから、政府は移入動物による各種被害に対応するため数種類の法律を策定して対策を講じ、その後1950年代半ばからヘリコプターを使用した銃猟や人参に毒を混ぜた毒殺などの方法により、年間4万頭から6万頭の捕獲を実施した。

 商業ハンティングも盛んで1985年頃まで食肉としてドイツを中心に輸出しており、捕獲のピークは1972年で13万3000頭に達している。

・ ヨーロッパの需要に対応するため、野生の捕獲と並行して、1960年代から養鹿が始まり、1969年には養鹿に関する様々な法制度が整備されていった。

・ 野生のシカはその後増加傾向にあり、現在は全土で25万頭が生息しており、その生息域は山岳地帯が多く、約8割がアカシカである。(分布状況次ページ)

2 現在の野生ジカの管理 

 ・ NZに狩猟に関する規制はなく、シカ類については通年捕獲が可能である。

 ・ 狩猟免許などの資格制度もなく、土地の所有者の了解のもと、誰でも捕獲することができる。

 ・ 狩猟は各地で盛んに行われており、国外から訪れる者も多く、産業の一つにもなっている。

 ・ シカ類は移入種であるが、観光収入をもたらすことなど、資源としての価値もあるため、完全に排除する方向ではなく、自然保護団体、シカ農場、販売者、レクリエーションハンター、DOCなどの協議により管理している。

<シカの保護管理の考え方>

NZ(移入種) 北海道(在来種)
地域社会の合議による管理
○狩猟産業、養鹿産業の維持と自然環境保全のバランス
・自然保護団体
・シカ農場
・シカ製品販売者協議
・リクレーションハンター
・DOC
保護管理計画に基づく個体数管理
○自然環境の保全と基幹産業(農林業)への被害防止
・狩猟と駆除による個体数管理
・フィードバックと順応管理
・農林業被害の軽減